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職業能力評価基準とは

近年、人材不足やスキルミスマッチが深刻化する中、客観的なスキル評価基準の重要性が高まっています。
そこで、本記事では「職業能力評価基準」について、その概要、活用方法、効果などを詳しく解説します。
「職業能力評価基準」とは、仕事をこなすために必要な「知識」と「技術・技能」に加えて、「成果につながる職務行動例(職務遂行能力)」を、業種別、職種・職務別に整理した職業能力の評価基準であり、厚生労働省が策定しました。

この基準は、個々の従業員の能力を客観的かつ公正に評価するために設定されます。職業能力評価基準は、企業が人材を効果的に育成・配置し、業務の効率化と品質の向上を図るための重要なツールとなります。

職業能力評価基準の活用方法
職業能力評価基準は、以下のような理由で企業経営において重要な役割を果たします。

(1) 人材育成とキャリア開発の促進

職業能力評価基準を導入することで、従業員が自分のスキルや能力を客観的に理解し、必要なトレーニングやキャリア開発の方向性を明確にすることができます。これにより、企業は従業員の成長を支援し、効果的な人材育成を実現することができます。

(2) 公正な評価と報酬制度の確立

職業能力評価基準は、従業員の評価を公正かつ透明に行うための基盤となります。これにより、評価に基づいた適正な報酬制度を確立することが可能となり、従業員のモチベーション向上と組織全体の生産性向上に寄与します。

(3) 採用活動の効率化

企業が求めるスキルや能力を明確に定義することで、採用活動においてもその基準を活用することができます。これにより、適切な人材を効率的に選考し、企業のニーズに合った人材を確保することが容易になります。

(4) キャリアパス設計

従業員のスキルレベル・専門分野、強みや興味関心に基づいて、個々のキャリアパスを設計することができます。また、必要なスキルや資格を明確にすることで、キャリアアップのための支援を効果的に行うことができます。

職業能力評価基準の策定業種一覧

職業能力評価基準は、業種横断的な事務系9職種に加え、電気機械器具製造業、ホテル業、在宅介護業など、56業種について策定されており、その内容については以下のようになります。
ただし、この基準は、業界内での標準的な基準であるため、各企業で適宜カスタマイズして活用することが推奨されています。

職種一覧

業種横断的な事務系職種(9職種) 経営戦略、人事・人材開発・労務管理、企業法務・総務・広報、経理・資金財務・経営管理分析、情報システム、営業・マーケティング・広告、生産管理、ロジスティクス、国際事業
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業種一覧

建設業関係(7業種)
型枠工事業、鉄筋工事業、防水工事業、左官工事業、造園工事業、総合工事業、電気通信工事業
製造業関係(13業種)
電気機械器具製造業、プラスチック製品製造業、フルードパワー分野、ファインセラミックス製品製造業、自動車製造業、光学機器製造業、パン製造業、軽金属製品製造業、鍛造業、金属プレス加工業、石油精製業、ねじ製造業、鋳造業
運輸業関係(2業種)
ロジスティクス分野、マテリアル・ハンドリング業
卸売・小売業関係(6業種)
スーパーマーケット業、卸売業、DIY業、コンビニエンスストア業、専門店業、百貨店業
金融・保険業関係(2業種)
クレジットカード業、信用金庫業
サービス業関係(16業種)
ホテル業、市場調査業、外食産業、広告業、フィットネス産業、クリーニング業、在宅介護業、ボウリング場業、写真館業、産業廃棄物処理業、ビルメンテナンス業、旅館業、施設介護業、添乗サービス業、葬祭業、エステティック業
その他(10業種)
印刷業、アパレル業、エンジニアリング業、自動販売機製造・管理運営業、イベント産業、プラントメンテナンス業、ウェブ・コンテンツ制作業(モバイル)、屋外広告業、ディスプレイ業、警備業
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策定されていない職種・業種について

策定されていない職種・業種については、他の業種の基準を参考に業界団体が独自に評価基準を策定することや、企業独自の基準をもとに策定し、運用することが可能です。
また、職業能力評価基準の策定を専門とするコンサルタントやコンサルティング会社の支援を受けることも有効です。

職業能力評価基準の構成

職業能力評価基準では、仕事の内容を「職種」→「職務」→「能力ユニット」→「能力細目」という単位に細分化し、成果につながる行動例を「職務遂行のための基準」、仕事をこなすために前提として求められる知識を「必要な知識」として整理・体系化しています。 

また、会社において期待される責任・役割の範囲と難易度により4つの能力段階(レベル区分)を設定しています。厚生労働省は、職業能力評価基準の活用を推進することで、企業や団体の人材育成や人事評価の質の向上を図っています。
職業能力評価基準の構成

キャリアマップ
職業能力評価基準で設定されているレベル区分1~4をもとに、能力開発の標準的な道筋を示したものです。

レベル4
大規模組織の責任者もしくわ最高度の専門職として、広範かつ統合的な判断及び意思決定を行い、企業利益を先導・創造する業務を遂行するために必要な能力水準


レベル3
中小規模組織の責任者もしくわ高度専門職として、上位方針を踏まえて管理運営、計画作成・業務遂行、問題解決等を行い、企業利益を創出する業務を遂行するために必要な能力水準

レベル2
グループやチームの中心メンバーとして、創意工夫を凝らして自主的な判断、改善、提案を行いながら、業務を遂行するために必要な能力水準


レベル1
担当者として、上司の指示、助言を踏まえて定例的な業務を確実に遂行するために必要な能力水準

職業能力評価シート
職業能力評価基準の評価シートにおける「評価シート(本体)」と「サブツール」の役割

職業能力評価基準の評価シートは、従業員のスキルや能力を体系的かつ客観的に評価するためのツールです。これにより、従業員の能力を明確に把握し、育成計画やキャリア開発に活用することができます。

また、職業能力評価シートは、各レベルに求められる基準の全体像を把握し、習熟度をチェックすることができる「評価シート(本体)」と具体的な知識や能力を記載した「サブツール」の2つのシートにて構成されています。

例:評価シート(本体)

職業能力評価シート
各職種における必要な能力を具体的に示したチェックリストです。具体的には、以下の項目が記載されています。

評価シート(本体)では、個人の職務遂行能力を各能力細目に対して、評価の基準に沿って客観的に評価を行います。
評価対象者が、自己評価欄に自身の能力を評価後、上司が部下の自己評価を確認し、上司評価欄に評価を行います。

出典:厚生労働省ホームページ

例:サブツール

職業能力評価シート(サブツール)
サブツールは、「評価シート(本体)」で評価対象となる能力細目について、より詳細な情報を提供するツールです。
サブツールでは、評価者と評価対象者が、評価シート(本体)で評価対象となる能力について、より深く理解し、自身の能力をより客観的に評価することができます。

出典:厚生労働省ホームページ

職業能力評価基準の導入方法
職業能力評価基準を効果的に導入するためには、以下のステップを踏むことが重要です。

Step.1
必要なスキルと能力の明確化
まず、各職務において必要とされるスキルや能力を明確に定義します。これには、業務内容や目標、企業のビジョンとミッションに基づく分析が含まれます。
Step.2
評価基準の設定
次に、明確に定義されたスキルや能力を評価するための基準を設定します。これには、具体的な評価項目や評価の尺度を決定することが含まれます。
Step.3
評価プロセスの確立
評価基準に基づいて、評価プロセスを確立します。これには、評価の頻度や方法、フィードバックの提供方法などが含まれます。
Step.4
トレーニングとコミュニケーション
評価基準とプロセスを全従業員に理解させるためのトレーニングを実施します。また、評価結果に基づくフィードバックを適切に行い、従業員の成長を支援するためのコミュニケーションを強化します。
Step.1
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職業能力評価基準の導入効果

  • 必要な能力を明確にすることで、効果的な研修や教育プログラムを設計・実施することが可能になります。
  • 客観的な評価基準を設けることで、公平で公正な人事評価を実現することができます。
  • 必要な能力を明確にすることで、求める人材像を具体的に定めることができます。
  • 独自の能力評価基準に基づいた社内認定制度を構築することで、従業員のスキルアップを支援することができます。
  • 人材配置の最適化や、個々の能力に合わせた育成計画の策定に役立てることができます。
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まとめ

職業能力評価基準は、人材育成、採用、評価、キャリアパス設計など、様々な場面で活用できるツールです。
企業は、職業能力評価基準を活用することで、自社の競争力を強化することができます
ただし、評価基準の策定には専門的な知識と時間が必要です。また、評価の客観性と公平性を保つための仕組みづくりが重要となってきます。
活用事例

職業能力評価基準の活用事例

職業能力評価基準の詳細は厚生労働省のHPでご確認いただけます。
キャリアマップ、職業能力評価シートを活用するための「導入・活用マニュアル」のダウンロードが可能です
活用事例

職業能力評価基準対応の活用ツール

SISJIN(エスアイエス・ジン)は、職業能力評価基準に対応したタレントマネジメントシステムです。職業能力評価基準を活用することで、職業能力の向上・開発に必要な知識やスキルを把握し、不足しているスキルの育成や、偏りがちな人材配置を是正することに役立ちます。